世界各国の弁護士制度

アメリカ合衆国

アメリカ合衆国では弁護士は国家資格ではなくそれぞれの州ごとの資格として存在しています。そのため、「米国弁護士」や「アメリカ弁護士」といった資格が存在するわけではありません。「ニューヨーク州弁護士」や「アイダホ州」弁護士といった区分で弁護士資格が存在しています。

司法試験も当然ながらそれぞれの州で行われており、その受験に必要な資格や、合格に至る基準などもそれぞれの州によって異なっています。しかしながら多くの州に共通している部分については、その受験資格として、原則はアメリカ法曹協会が認定している「ロースクール」とよばれる所で、「ジュリスドクター」という学位を取らなければなりません。しかしながらイギリスやアメリカに近い法律制度を持つ国で法学の教育を受けた人や、そうでない国で法学の勉強をした後でもアメリカのロースクールを受けることで受験の資格が認められることがあります。

司法試験はほとんどの州で、主要な法律に関する一般的な知識量を調べる選択式の全ての州で共通の司法試験に加えて、それぞれの州の州法をメインに、それぞれ独自の試験の2つが存在しています。さらにある条件を設定し、それを元に意見書などの法律関係の文章作成を行うなどの実務能力を問う試験を行っている週もあります。

さらにほとんどの州では、司法試験の他に、法曹倫理に関する共通試験(Multistate Professional Responsibility Examination)で一定の成績をとることが要求されています。

以上のような試験に合格すればその州での法曹資格を得ることができるので、日本の司法修習のような合格後の訓練制度はありません。
州ごとの資格であるため、資格のない州の裁判所で依頼人を代理する等他州の法律に関する法律業務を行うことは原則としてできません。ただし、他州の資格のみを持つ弁護士が一時的に自州の裁判所で弁論することを認めたり(pro hac vice)、一定の資格・経験のある他州の弁護士に、自動的に、または略式の司法試験により自州の法曹資格を与えることがあります。

ドイツ連邦共和国

ドイツの弁護士は独立した司法機関であるため、ある特定の地域に集中して存在したり、成功報酬が禁止されるといったようなことが法律で定められています。当然司法機関であるため、弁護士になることも容易ではありません。まずドイツの大学の法学部で3年半もの間法律の教育を受け、その後第一国家試験に合格しなくてはなりません。また、試験に合格するだけでは弁護士になることはできず、更に2年半の研修と、第二次司法国家試験の合格が必要です。

加えて弁護士として活動するためには、活動の許可を各上級裁判所、連邦通常裁判所から受けなくてはならず、その上、連邦通常裁判所で創設された強制加入の弁護士会会員なり、そこではじめて弁護士として活動ができます。 先にも述べたように、弁護士は司法機関として見なされているために、弁護士の仕事は営業ではないと規定されています。しかし、近年は広告が原則として自由化され、その限りではなくなってきています。

サウジアラビア王国

サウジアラビアで弁護士制度の歴史は長くありません。1958年に弁護士制度が誕生し、弁護士が本格的に法定で活動するようになったのは1980年に入ってからです。サウジアラビアの法律はワッハーブ派の教義に基づくイスラーム法であるため弁護士はワッハーブ派のムスリムであることが必須条件でした。しかし2006年からシーア派のムスリム、ズィンミー(イスラーム政権下における庇護民)であるキリスト教徒、ユダヤ教徒、ヒンドゥー教徒にも一定の条件下では弁護士資格が認められるようになりました。また、厳格なイスラーム法とイスラム教の慣習に基づいているため男女の分離が定められており、司法機関内や政府庁舎でもこれまで女性の弁護士は、女性専用と限定された区画でしか活動が認められていませんでしたが、2010年には女性弁護士の出廷が一部許可される見通しとなりました。

サウジアラビアにおける弁護士の地位は日本や欧米に比べると弁護士自治が低く、裁判の判決に不服従であれば資格を剥奪されたり、国王、国家、宗教指導者などの権力者を訴えることは不可能です。 弁護士資格の取得は法曹関係者による審議会で審議され相応しいと認められれば弁護士になることができます。審査基準は非公開であり、恣意的な物であると批判されることもあります。

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